Google I/O 2025 は「AI を使う」から「AI と暮らす」への転換点。スマホの中で動く Gemini、仕事を丸ごと肩代わりする Gio、検索画面のビジュアル要約、動画+音声を同時生成する Veo 3、そして“ほんやくコンニャク”に近づいた Meet の同時通訳。5 つの発表を初心者向けにかみ砕いてまとめる。
📰 Google ── Gemini 2 Ultra を Android に標準搭載
元記事: https://blog.google/products/gemini/gemini-app-updates-io-2025/
Pixel 9 以降のスマホに最新モデル Gemini 2 Ultra が内蔵され、翻訳・画像説明・動画要約まで通信なしで完結。地下鉄や機内でも AI アシスタントが途切れない。(blog.google, blog.google)
背景メモ
高性能 AI はクラウド依存という常識を、低電力チップと軽量モデルが塗り替えた。iPhone も同様の動きを示唆しており、ポケット AI 戦争が加速。(The Verge)
今後どうなる?
通信量と待ち時間を気にせず AI を呼び出せる世界に。開発者はクラウド API 前提の設計を見直し、端末推論 SDK への対応が必須になる。
📰 Google ── エージェント基盤「Gio」正式ローンチ
元記事: https://blog.google/technology/ai/io-2025-keynote/
Gio は Gmail、Drive、外部 SaaS を横断し、メール添付の請求書をスプレッドシートに転記→Slack へ報告→請求承認まで自動でこなす“操作する AI”。デモでは旅行予約を 2 分で完了させ会場を沸かせた。(ビジネススタンダード, blog.google)
背景メモ
Perplexity や Rabbit が先行していた「行動型 AI」分野に Google が本格参入。従来の RPA や Zapier ワークフローと正面衝突する。
今後どうなる?
SaaS 企業は Gio 連携コネクタを急いで実装しないと“選択肢外”になる恐れ。情シス部門は権限トークン管理や監査ログの再設計が必要。
📰 Google ── 検索に「ビジュアル要約」カードを追加
元記事: https://blog.google/products/search/google-search-ai-mode-update/
検索結果の最上部に画像・グラフ・箇条書きを組み合わせた“瞬間要約”を表示。例として「エベレスト 登山 ルート」を入力すると地図・高度差グラフ・装備リストが一目でわかる。Gemini Flash が数秒で生成する。(エンガジェット, blog.google)
背景メモ
長文 AI 要約はスクロール疲れを招くとの声があり、視覚要素で一目理解を狙った改良。TikTok や Pinterest に流れる若年層を検索へ呼び戻す施策でもある。
今後どうなる?
SEO の主戦場が「文章」から「画像付き要約」へ拡大。企業サイトは図表や構造化データを整備しないと露出が落ちる。レシピ・旅行・医療など視覚情報が強い分野から影響が出そう。
📰 Google ── Veo 3 が動画と音声を同時生成
元記事: https://blog.google/technology/ai/generative-media-models-io-2025/
Veo 3 は 1 つのプロンプトで映像と効果音・せりふを同時生成。街のシーンなら車の走行音、キャラクター同士の会話も自動で入る。映像の長さは最大 15 秒、解像度は 1080p。クリエイター向けツール「Flow」から順次提供。(blog.google, TechCrunch)
背景メモ
これまでの生成動画はサイレントが課題。音付き映像生成は編集工数を一気に削減し、TikTok・CM 制作・ゲーム開発で需要が高い。
今後どうなる?
「映像+効果音まで自動」のワンストップ生成が標準になり、YouTuber や広告代理店は試作ムービーを即日量産できる。著作権とフェイク動画対策が次の論点。
📰 Google ── Meet にリアルタイム音声翻訳機能
元記事: https://techcrunch.com/2025/05/20/google-meet-is-getting-real-time-speech-translation/
Google Meet が Gemini 音声モデルを活用し、会話を相手の言語へ即時翻訳。英語で話せば相手の画面に日本語字幕、逆方向も同時に生成される。“ほんやくコンニャク”に一歩近づく機能。(The Verge, TechCrunch)
背景メモ
在宅勤務の国際会議で「通訳コストや段取りが重い」という声が多かった。大規模音声モデルの精度向上でようやく実用ラインへ。
今後どうなる?
海外クライアントと 1 対 1 の商談で「通訳同席なし」が当たり前になるかもしれない。字幕精度を競うプラットフォーム間の差が、ビジネス利用の選択指標になる。
今日のまとめ
- ポケットAI:Gemini 2 Ultra がスマホ単体で高度な生成を実現し、「ギガ不足」の心配を消す。
- 行動するAI:Gio でメールから発注まで自動化、RPA の再発明が始まった。
- 見てわかる検索:ビジュアル要約が情報収集のスピードと表現を刷新。
- 映像+音も自動:Veo 3 が動画制作の初稿を一瞬で生成し、クリエイティブの試行回数を押し上げる。
- リアルタイム翻訳:Meet の同時通訳で国境の壁がさらに低くなり、海外ビジネスの初動コストが下がる。
AI が「裏方」から「相棒」へ進む流れがはっきりした 1 日。次に備え、端末内推論とエージェント連携を前提にサービス設計を見直すタイミングだ。